MEMSプロセスで実現する自ら発電して移動するスマートなIoTデバイス

摘要

平成28年に閣議決定された第5期科学技術基本計画では，Internet of Things (IoT)，Artificial Intelligence(AI),デバイス，センサ，素材?ナノテクノロジーなどの強化を図り， 世界に先駆けた「超スマート社会」の実現を 目指す取り組みが記載されている~(1)).AI?IoT社会の実現のためには，現在の各要素技 術の個別研究による「もの」づくりに加え， 各要素技術を高度に実装し集積化することで, 新たな「コト」づくりに対応するIoTデバイ スの開発が必要である.近年，半導体製造技 術やレーザ加工技術などの微細加工技術を 利用し，微小な電気要素および機械要素を シリコンウェハに構築する，Micro Electro Mechanical Systems (MEMS)技術を用いた IoT デバイスが盛hに開発されている~(2,3))MEMS技術を用いることで，IoTデバイスの 小型化，低消費電力化が進められ，これまで にさまざまなセンサおよびアクチュエータ， 発電機(電源）が提案されている.し力、し，セ ンサおよびアクチュエータの進展と比較し， 発電機の小型化および高出力化は技術的に難 しく，電力消費が大きいIoTデバイスの駆動 は困難であった.通常，MEMS技術と相性の良い小型発電機は，エレクトレットを用い た静電方式もしくは圧電素子を用いた圧電方 式を利用して，機械的な振動を電力に変換す る素子が用いられる~(3)).しかし，現状ではミリメートルのデバイスサイズで数十から数百 マイクロワット程度の電力供給が限界である. 一方で，巻き線コイルを用いた電磁誘導方式 は，数ミリワットの程度の電力供給が可能で あるが，小型磁気回路の形成が難しく小型化 が困難であった.