コヒーレントラマン散乱による超短パルス光の発生とレーザーイオン化質量分析法への応用

摘要

質量分析においては，分子イオンが普遍的に得られる新しい方法が求められている．レーザーイオン化法は，そのための優れたアプローチとして注目されている．とくに共鳴励起イオン化法は，選択的でイオン化効率が高く，かつ分子イオンを与えるソフトなイオン化法として知られている．このため基礎的な化学の分野はもちろh，実用計測の分野においても広く用いられている．たとえば，超短パルスレーザーは励起寿命が短い物質のイオン化に有利であるが，フェムト秒レーザーイオン化／質量分析計を用いるダイオキシン分析では100fg岳以下の検出限界が得られており，環境省が要求する感度レベルに達している．