医療を支える新素材（9)生体組織接着剤の化学糸で縫わない臓器?組織の術部閉鎖に向けて

摘要

接着剤といえば，瞬間接着剤に代表されるシアノアクリレート系接着剤がまず思いつくだろう.シアノアクリレー卜系接着剤は，生体組織接着用の商品もすでに販売されており（ヒストアクリルなど），非常に高い機械的強度および接着強度をもつ（図a).—方で硬化後，分解に伴いホルムアルデヒドを放散してしまうため，生体親和性に課題がある.現在臨床で最も多く使用されている接着剤は，血液 成分であるトロンビンとフイブリノーゲンを主成分とするフイブリン系接着剤である（ベリプラストなど）.