電気めっき金属の析出反応を利用したAl_20_3溶射皮膜の有孔度測定方法

摘要

従来の気孔率測定方法としては，アルキメデス法，水銀圧大法などによる多孔質部材に対する空隙率測定法，フェロキシル試験法（JISH8663-1994）などが挙げられる．しかし，これらの試験方法では，皮膜内の開気孔（貫通気孔）と閉気孔との区別を含む皮膜構造の詳細な検討が不可能であった．溶射皮膜に存在する（a）貫通気孔（Open pore，Interconnected porosity），（b）開気孔（Open pore），（C）閉気孔（Closed pore）の模式図をFig.1に示す．本論文で取り扱うセラミックス溶射皮膜への電気めっき金属の析出現象は荒田，や足立らによってセラミックス溶射皮膜の構造解析や，所定の物性値の溶射皮膜を得るための溶射条件の探索に用いられている．原田らは開気孔と閉気孔を明確に識別し，かつ開気孔率を測定する方法として，セラミックス溶射皮膜に対する電気めっき金属の析出現象を利用した試験方法を考案した．また，セラミックス溶射皮膜への銅の電析挙動は，原田らによって検討されている.