近年、マイクロアレイ解析などの分野で、データの次元数dが標本数より遥かに大きい高次元小標本データが解析対象になる場面が増えている。本発表では、2群の判別分析において、dが無限大に行く時の漸近的な性質を考察する(d-asymptotics)。どのような条件の下うまく判別出来るのか又は出来ないのかを調べることは重要である。2つの分布が正規分布で、かつその分散共分散行列が等しいという条件の下では多くの結果が知られているが、分散共分散行列が異なる場合は、解析が困難になる為、まだ良く分かっていない。最近、Aoshima and Yata(2011)は分散共分散行列が等しいという条件を仮定することなく、分布に関するある条件の下、dの増加に伴い誤判別率が0に収束する(d一致性)ような判別関数を提案している。本研究では、分散共分散行列が等しくないという状況において、ある条件の下では、どのような判別関数を用いてもd一致性は成り立たないという否定的結果を得たのでそれを報告する。
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