子牛ならびに育成牛における肢骨折25例の臨床概要

摘要

2006年1月から2010年12月までの5年間に，肢骨折の治療を受けた子牛ならびに育成牛25 頭についての臨床記録を整理した.症例は黒毛和種19例，ホルスタイン種5例，日本短角種1例で，性 別は雄が13例，雌が12例であった.月齢は0-13.0力月（平均3.4力月）で，12例(48%)力l力月齢以 内であった.体重は23-300kg (平均105.9kg)で，ほ例（60%)が100kg以内であった.骨折の種類は， 上腕骨の骨幹骨折が3例，橈尺骨の成長板骨折が3例，中手骨の骨幹骨折が7例ならびに成長板骨折が 4例，大腿骨類部骨折が2例，脛骨の骨幹骨折が3例，中足骨の骨幹骨折が3例であった.橈尺骨およ び中手骨の成長板骨折におけるSalter-Harris分類は，タイプIが3例，タイプIIが3例，タイプIIが1 例であった.また，中手骨，脛骨もしくは中足骨の骨幹骨折症例のうち4例は開放骨折であり，重症度 を示すGustilo分類は，タイプIが2例，タィプIIIが1例，タィプMbが1例であつた.治療として， プラスチックキャストによるフルリムキャストの外固定（FLC)を橈尺骨折3例，中手骨骨折10例.脛 骨骨折1例，中足骨骨折2例の計16例に行った.上腕骨骨折3例にはタイプI創外固定を単独もしくは 髄内ピン固定との併用で行った.開放骨折の4例中3例と脛骨骨折の1例には，貫通固定ピン（スタイ マンピン）とFLCの併用による外固定（TPC)を行った.大腿骨頸部骨折2例では，予後不良のため 治療を行わなかった.転帰はおおむね良好であり，大腿骨頸部骨折の症例を除き，23例中20例（8796) が治癒した.