(3)排水管利用に向けた薄肉小口径鋼管の接着接合に関する基礎研究

摘要

自然災害が多い我が国では，斜面崩壊に対する盛土の保全が急務である．盛土の崩壊を未然に防ぐためには，盛土内の排水が重要であり，これに向けた排水横ボーリング工など様々な工法がある1)．それらの中で，小口径鋼管杭を盛土中に水平に埋設し，排水管の役割を担う水平ドレーンとして用いる工法が提案されている．この工法は，省スペース化を意識した工法である．既設盛土では，周辺構造物が障害となり，長尺な管を打設することが難しい場合があるため，複数本の短尺管を接続する必要がある．薄肉小口径鋼管の接続には，入熱の影響を受けることから現場溶接は不向きであり，メカニカルジョイントによる接続が行われている．しかし，その接続方法では鋼管接続部の加工および治具が必要となり高額になる傾向がある．そこで，本研究では現場溶接に代わる方法として，鋼管加工の必要がなく，メカニカルジョイントより安価である接着剤による接着接合に注目した．