林業事業体の労働安全衛生対策と 労働災害の特徴

摘要

2003年度から始まった林野庁の「緑の雇用」事業の 効果もあり、50年来続いてきた林業労働者数の減少傾 向に歯止めがかかり、65歳以上の高齢化比率も改善さ れ始めている。また、林業現場では、ハーべスタ、プロ セッサ一、スイングヤーダ、フォヮーダ一などの高性能 林業機械が全国的に普及するとともに、チェ一ンソ一に よる労働災害を軽減するための防護ズボンの定着も進 み、労働環境の改善が進hでいる。しかし、林業はいま だに労働災害の発生頻度が高く、 2014年の死傷年千人 率（労働者1千人あたりの死傷者数）は26.9%oであり、 全産業平均の2.3%oの11.7倍にも相当する。日本の林 業労働災害は、1972年の労働安全衛生法の施行により 劇的に減少したが、2005年以降は死傷年千人率30%o 前後から漸減傾向に転じ、死亡災害も年間40人前後を 維持している。このため厚生労働省は、第11次労働災 害防止計画（2008-2012年）において林業を労働災 害多発業種とし、特別な対策を講じるよう指示した。