マツ材線虫病研究の最前線

摘要

ゲノム科学は、新たな技術の開発、普及と共に歴史的 に何度かの飛躍を遂げてきたが、最近普及した次世代シ一ケンサ一(Next Generation Sequencer ： NGS) の出現は従来のゲノム科学に闋するアプローチを一変さ せる威力を発揮している。モデル生物がゲノム科学の主 流あつた従来とは異なり、様々な生物のゲノムゃ遺伝 子情報を大量に取得することはもはや難しいことではな くなつた。塩基配列情報の大量取得に目を向けるぱかり でなく、バイオインフォマティクスの台頭も重要である。 マツノザィセンチユウの全ゲノムが74.5Mbとモデル 生物であるC. elegansよりもわずかに小さいことを明 らかにしたKikuchi et al. (2011)は、ゲノム解読と同 時に数多くの遺伝子の予測と存在も報告している。 NGSとバイオインフォマティクスが融合したこの研究 は、マツノザィセンチュゥ研究の新たな時代の幕開けを 切り開いた研究として記憶されるに違いない。