種苗生産システムの設計と低塩分飼育への展開-トラフグ.八タ類,カサゴS

摘要

生体防御が十分ではなく、飼育環境のわずかな変化が生残や成長に影響する種苗期にこそ循環飼育の強みは活かされる。本稿では、作業性向上に向けたひと工夫や低塩分飼育の実例を紹介するとともに、収支シミュレ—ションから事業性についても解説する。養殖分野のようには注目されてなかった種苗生産における循環飼育であるが、実はさまざまな効果が期待されている。本号では沿岸域の機関を含めて幅広く導入が期待される閉鎖循環式種苗生産について紹介する。循環飼育は生産コスト削減などの効果が顕著な養殖分野での研究が進hできたが、生体防御が十分でなく、飼育環境のわずかな変化でも生残や成長に影響する「種苗期」にこそ導入すべき手法と考えている。ただ、種苗生産における研究や導入事例が少ないのも実情である。これは前述の理由のほかに、循環飼育の技術開発に携わつてきた研究者の多くが飼育の専門家でなかつたことから、飼育の難しい種苗生産では研究を進めることができなかつた側面もある。