当科における乳幼児未整復DDH症例に対する overhead traction法の治療成績

摘要

当科では完全脱臼発育性股関節形成不全(DDH)症例のうちRiemenbiigel法(Rb法)不成 功例および生後7か月以降の診断遅延例に対して，原則overhead traction法(OHT法）にて緩徐整 復を行っている.対象は2012年1月から2017年8月までに当科でDDHに対してOHT法を施行 .した18例18関節(女児17例、男児1例）である.初診時平均月齢は5.9か月（1か月?1歲6か月）， 牽弓I開始平均月齢は8.8か月(7か月?1歳8か月），平均経過観察期間は34.5か月(2か月?68か月) であった.山室a ? b値?牽引期間?整復率?再脱臼の有無について調査した.全例がOHT法の みで整復が得られ，再脱臼を生じなかった.山室a' b値と総牽引期間の間に相関関係は認められ なかった.本研究では2歳未満の完全脱臼DDHでは脱臼の程度とOHT法の整復難度に相開はな く ，全例OHT法で整復が可能であった.文献的に観血的整復術では骨頭壊死や巨大骨頭発生のリ スクが報告されているが，OHT法はそれらのリスクを回避する有用な整復方法である.