当科における乳児股関節検診の現状

摘要

【方法】対象は，健診または前医で発育性股関節形成不全(以下，DDH)を疑われ当科を受 診した症例のうち月齢6か月以下の116例で，男児46例，女児70例で平均月齢は5.0か月であつ た.これらの症例の受診経緯，診断結果，DDHの危険因子の有無，治療法について調査した.【結 果】受診経緯は，身体異常所見を認めての受診が112例，身体異常所見がなく，危険因子のみで受 診した症例は4例であった.100例は当院のある岡山県倉敷市以外からの受診であった.116例の うち脱臼,亜脱臼は14例(脱臼5例,亜脱臼9例)であつた.【考察】近年DDHの症例数の減少にと もない，一般整形外科医の本症に対する診断能力の低下が危惧されており診断遅延も問題となって いる.本研究でも二次検診目的で遠方から当科を受診していた症例が多数存在し，診断の段階で一 部の専門病院に症例が集中している可能性があり，検診体制の整備が必要と考えられた.