川崎病に合併した乳児化膿性股関節炎の1例

摘要

川崎病治療中に併発した乳児化膿性股関節炎を経験した.元来健康な10か月女児.川 崎病の診断にてIVIG療法，血漿交換療法を施行.まだ，MRSA感染による敗血症を合併し，全身 造影CTにて右股関節を含めた多部位に膿瘍形成を認めた.股関節穿刺にて膿を確認後，同日デブ リドマンを施行.術後は閉鎖式ドレーン留置を行ったが，感染の沈静化には2度の手術が必要で あった.術後3年経過した時点で股関節痛や跛行は認めていないが，徐々に骨頭の萎縮，扁平化を 認めており，今後補正手術が必要と考えている.川崎病の合併症状として関節炎が挙げられるが 化膿性関節炎の併発は我々が渉撒し得た限り存在しなかつた.川崎病に合併する非感染性関節炎と 症状は類似するが，治療開始が遅延すると重篤な後遺症を引き起こす可能性があるため，常に感染 を念頭に置く必要があると考えた.