光弾性解析と有限要素解析を併用した人工股関節の設計条件の最適化に関する実験的アプローチ

摘要

近年，超高齢化社会となったわが国では，高齢者の転倒などによる大腿骨頸部骨折が増加や，股関節疾患では末期の変形性股関節症について高度な治療が必要となるケースがある．これらに対する全人工股関節置換術(Total Hip Replacement: THR)を適用した治療も増加しており，最良の治療法とされる．患者の股関節をカップとステムを介したヘッドを埋設することにより，人工的にボール＆ソケット構造を構成する．図1に健常股関節と，図2 にTHR ステムを示す．THR の利点は，股関節の疼痛除去，運動機能が回復し，自主的活動の拡大が得られる点である．しかし，人工股関節には多様な形状があり，それぞれ応力状態も多様となることが懸念される．よって，ステムの形状が及ぼす応力状態を把握することは重要である．本研究では，代表的なステムや新たに試案した形状について，応力凍結法と有限要素法を併用し検討した．個々ステム自体の応力状態や力学特性を解析し，最適設計の指針を模索する．