歩行開始後に発見された先天性股関節脱臼の治療成績

摘要

当院で治療経過観察を行い，脱臼整復後10歳以上に達した19例19股を対象とした.男 児4例4股，女児15例15股，治療開始時平均年齢2歳0か月，最終経過観察時平均年齢13歳1か 月であった.治療は保存治療5股，観血的整復14股で，最終調査時のSeverin ID/IVは9股(CR1 股，OR8股）で，そのうち6股は1歳半以下の症例であり，全例ORであった.Kalamchi分類 group 2以上は1歳半以下5股/9股(全例OR),1歳7か月以降は3股/10股(CR1股，OR2股)で あった.骨頭肥大は1歳半以下44.4%,1歳7か月以降は10%に発生し，1歳半以下では全例OR にみられた.1歳半以下の観血的整復で骨頭壊死と骨頭肥大が高率に発生し，その原因として手術 侵襲かh考えられた.1歳半以下には保存治療が望ましく，今後治療基準および治療方法の見なおしが必要である.