［ポスター講演］相対テキスト長パターンに基づくPDF文書に対する電子透かし法

摘要

PDFファイルのテキスト構造を変更することにより，不可視電子透かしを埋め込む手法を提案する．PDF は利用環境に依存せず，文書を表示することが可能なファイル形式である．ビジネスで頻繁に使用されているため，その不正使用が重要な問題である．デジタルコンテンツの不正使用を防止するために，電子透かし技術を適用することができる．提案手法では、透かしはPDFテキストを表示するために使用されるTjとTJオペレータのオペランド，すなわち，テキスト文字列に埋め込まれる．テキスト長の集合は，オペレータを検出することによってPDF文書から取得することができる．テキスト長を順に走査することによって，3つの隣接するテキスト長からなる3つ組が埋め込みに使用される．透かしは3つ組の3番目のテキスト文字列を2つに分割することにより，テキスト長として埋め込まれる．さらに，分割されたテキスト文字列はそれらの位置を計算することによって，分割される前と同じ位置に表示することができる．その結果，知覚できる差を感じることなく，電子情報通信学会技術報告形式のPDF文書に透かしを埋め込むことができた．また，提案手法は圧縮展開，回転，結合，分割によって攻撃されたファイルから誤りなく透かしを抽出することができるため，PDFファイルを編集するためのコマンドラインツールであるpdftkコマンドに対してロバスト性がある．