二重JPEG画像の同定法とSNSへの応用

摘要

本稿では，JPEG形式で二回圧縮された画像（二重JPEG画像）を対象とした画像同定法を提案する．提案法は，二重JPEG画像であるクエリ画像に対して，JPEG形式で一度だけ圧縮された画像（単一圧縮JPEG画像）を保存したデータベース中から，クエリ画像と圧縮率など符号化条件は異なるが，原画像が同一の単一圧縮JPEG画像を同定することを目的とする．ソーシャルネットワーキングサービス（SNS）では，アップロードされたJPEG画像に対して，一般に再度JPEG圧縮を施すということが知られている．そのため，SNSへアップロードされた画像は二重JPEG 画像であり，使用される画像同定法がSNS上のJPEG画像の同定に有効であることが期待される．先行研究では，単一圧縮JPEG画像を対象とした画像同定法は提案されているが，二重JPEG画像の生成の際に生じる誤差が考慮されていない．そのために，二重JPEG画像の同定では，性能が大きく劣化する．提案法は，二重JPEG画像で生じる誤差を考慮して設計されているため，単一圧縮JPEG画廠だけでなく，二重JPEG画像の同定が可能となって，いる．シミュレーションでは，単一圧縮JPEG画像と二重JPEG画像の両方に対して，提案法が有効であることを示す．