マス卜細胞のFceレセプタ一Ibeta鎖ぺプチドによるIgE依存性の脱顆粒抑制

摘要

マスト細胞は骨髄由来であり，前駆細胞のま ま末梢血中に入り，組織に定着し，Stem cell factor を重要な増殖因子として組織で分化増殖する. 皮膚，気道，腸管，血管周囲などの外界と接触 する場所に存在している顆粒に富hだ細胞であ る.高親和性IgE受容体(FceRI)の発現は齧歯類 においてはマスト細胞と好塩基球に特異的で， alpha鎖，beta鎖，gamma鎖のダイマーの4量体構造であ る.ヒトにおいてはマスト細胞と好塩基球以外 に樹状細胞，ランゲルハンス細胞，単球，好酸 球にも発現しているが，これらの細胞に発現し ているFceRIはalpha鎖とgamma鎖のダイマーから形成 されている本稿では，FceRIbeta鎖の役割と細胞 内シグナル制御機構の解説を行い，さらにこの 分子を用いた脱顆粒抑制についても解説する.