パワーデバイス実装プロジェク卜と封止用耐熱性樹脂

摘要

本研究は,神奈川県と神奈川科学技術アカデミーが展開している地域産学公結集共同研究事業により平成20年から3年の計画で進められた.その目的は,超効率都市型コミューターEV あるいは省エネルギ型分散電源を実現するためにキーとなるパワーデバイス実装技術を開発することである.パワーデバイス実装拡大図を図1に,開発技術の目標性能を表1に示す.このプロジェクトでは,封止材料,接合技術,接合部の信頼性評価に絞った技術開発になっている.具体的には,当該接合部としての各種メタルの形成技術の研究および,高温ストレス,大電流密度ストレスにおける機械的特性変化と結晶構造変化の解析など耐久信頼性の研究,さらにはこれらに必要な評価技術の研究を行う.また,接合部信頼性の鍵を握る封止材料として従来のゲル封止にかわる高温作動に耐えるハードタイプの高耐熱樹脂を開発する.なお,表1はプロジェクト開始時点での目標であるため,第2世代,次世代として示しているが,当初は2010年にはこの分野に SiC デバイスが適用されると予想された.開発レベルであるが, 2010年度に SiC デよびパワーデバイス関連4社のアドバイザー参加そして,試作会社の27社と神奈川県産業技術センターおよび横浜国立大学が試作,評価を分担して進めている.これに,横浜高度実装技術コンソーシァム (YJC) の全面的支援と前述の KAST のアドバイスを受けて順調に1年目の試作を完了した.図10に示す1年目のモジュールはシリコン (Si) の IGBT とダイオードを組み合わせた実装で,水冷ジャケットー体型のモールド方式で作製された.2年目である本年度は, PJ の目的であるシリコンカーバイト (SiC) を実装したモジュールの試作に入っている.