RNA結合タンパク質によるMAPキナーゼシグナルの新たな制御機構

摘要

MAPキナーゼ（MAPK）は進化的に高度に保存されたリン酸化酵素であり，外界からのシグナルを細胞増殖，細胞死，あるいは分化といった様々な生体の反応に変換する．また，MAPKの異常な活性化は細胞の癌化を引き起こすため，Kシグナルを抑制するメカニズムを解明することはきわめて重要な課題である．MAPKシグナルの抑制因子として中心的な役割を果たすのが，MAPKを脱リン酸化するホスファターゼである．MAPKホスファターゼはⅩ自体の活性化，あるいは様々な刺激（熟刺激，ストレスなど）により発現が誘導されるため，これがMAPKシグナルの負のフィードバック制御メカニズムとして考えられていた．