ゼブラフィツシュ脳の左右非对称性とその発生機構

摘要

ほぼすべての脳部位は左右一対となっている．左右非対称性を獲得することにより，片側の半球を特定の機絶により特化させ，もう一方の半球に別の機能を担わせることができる．このようにして無用な機能的重複を避け，より効率的な神経情報処理を可能にしていると考えられる1）．左右非対称性は，利き手の存在や言語機能が主に左大脳半球に局在することからヒト固有の特徴として多くの関心を集めてきた　 例えば言語の生成や理解は主に左大脳皮質で行われるが2），顔の認識ほ主に右半球によって行われることが報告されている3）．解剖学的な脳の非対称性はと卜で詳しく調べられており，機能的非対称性と相関することが報告されている．例えば，言語に関する優位半球は側頭葉の側頭平面と呼ばれる領域の大きい側の半球と相関する2）一また，統合失調症では，大脳皮質言語関連領域における左右非対称性の度合いが減少していることが報告されている4）このように左右で異なった神経情報処理機構は脳の基本的特徴の1つであり，その機能や発生機構を明らかにすることは，高次脳機能や精神疾患病態の神経基盤を明らかにするうえで必要不可欠である．