「熱力学デー夕べースを利用した材料設計」セミナー

摘要

平成27年11月4日から3日間にわたって、「熱力学データべースを利用した材料設計」の講習会を開催した。Klaus Hack博士は、現在、合金?セラミックの分野において世界中で用いられている熱力学データべースならびにその応用ソフトウエアの開発者の一人であり、現在、同データべースを開発しているドイツGTT-Technologies社の社長も務めている。このシステムは古くは1960年代からドイツ? アーヘン工科大学でその原型が構築され、その後、ChemSageというパソコンでも利用できるパッケージソフトとして普及し、さらにカナダで開発されたFACTというソフトウェアと統合されて現在Fact-Sageという名前で世界中で活用されている。多成分系合金?酸化物などの化合物を含む系の熱力学的安定状態を計算でき、各種化学反応、平衡状態図の計算に用いられている。さらに、ユーザーの計算システムとリンクさせて、非平衡状態や、速度論的解析、流体解析などヘの応用も可能となっている。ソフトウエアとしての完成度がかなり高いが、その分、利用者には、原理を十分に理解しなくても利用できるという面があるため、このソフトウェアの根幹である熱力学の基礎から応用までの材料設計の手法についてソフトウエアを利用しながら博士課程学生、若手教員に学hでもらう講習会を開催した。連日、朝から夕方まで、非常に丁寧に講演?演習をしていただいた。講義では、材料熱力学の初歩から、合金? 酸化物を含む多成分系における多相共存下の化学反応や多相平衡状態図の計算、ならびにその表示方法に至るまで詳細な講義?演習を行っていただいた。また少人数の集中セミナーであったので、適宜討論を行いつつ理解を十分に深める形式のセミナーであった。非常に丁寧でわかりやすい英語での講義?演習であり、本セミナーは英語による授業としての役割も果たしており、博士前期?後期課程学生にも好評であった。