文法理論に基づく構造化と統計的暖味性解消による深い構文解析

摘要

本稿では，主辞駆動句構造文法理論(HPSG)に基づく大規模文法と統計的機械学習により，高速かつ高精度な深い構文解析を実現する手法について述べる．文法理論に基づく構文解析は，詳細な構文情報や述語項構造などの意味表現を精密に計算することができる反面，頑健性が低く非効率なため，実世界テキストの解析には適用できないとの認識が一般的であった．しかし，頑健性と効率性の問題は文法理論の不備による ものではなく，文法開発や暖昧性解消の方法に根本的な問題があるためである．それぞれの問題点を克服することにより，一般的な浅い構文解析（文脈自由文法による構文解析や係り受け解析）よりも高速かつ高精度で，深い構文構造の解析が可能であることを示す．