佐々木 舜ー(1888-1960)

摘要

マリモ発見120年の今年，川上瀧彌（第27回）を 取り上げる展示を企両したのは国立科学博物館 (以下，科博)だけではなかった。國立臺灣博物館(台 北市）では，12月2日より企画展『川上瀧彌與阿寒 湖的自然』が開催されている（来年2月25日まで)。 台湾では，川上はマリモの発見者としてではなく 台湾の植物を網羅的に調査して『臺灣植物目錄』を まとめた植物学者あるいは國立臺灣博物館の初代 館長として知られ，むしろロ本でよりも知名度 が高い。そこで釧路市教育委員会マリモ研究室若 菜勇室長の監修のもと，台湾と阿寒湖をマリモで つなぐ企画展が準備された。台湾初となるマリモ の水槽展示が計画され，微力ながら筝者もマリモ の映像を編集したり，マリモの地理的分布立体地 図（写真）を出品するなど協力している。この北半 球の模型が示すように，マリモは阿寒湖を含む日 本周辺からオオハクチョウなどの渡り鳥によって 運ばれ，欧州や北米などに分布を広げたと考えら れているが，今回の企画展は，日台で活躍した川 上瀧彌が渡り鳥となり，120年かけてマリモが台湾へ運ばれるに至った歴史的できごとと言える。