船体付着による水生生物の移動を最小化する対策

摘要

外航船舶によって連ばれる侵略的水生生物によ る問題は，この数十年間に増加した貿易量と交通 量によってさらに人きくなり，いまだピークをむ かえていないと認識されている。船舶バラスト 水は，効果的で安全性を担保する現代海運におい て必須であるが，多種多様な海洋生物種の運び屋 (ベクター）として機能し，重大な生態学的問題， 経済的問題，健康問題を引き起こしうるそこで， 外航船舶のバラスト水を経由した水生生物の越境 移動を抑制するための「パラスト水管理条約(BWM 条約)」が2017年9月8日に発効し，国際的な対策 がとられることとなる。「船体への生物付着」もま た，侵略的水生生物種の移動の重要なベクターで あると認識され, 2011年に国際海事機関(IMO)は 「S略的水生生物種の移動を最小化するための船 体への生物付着の制御と管理のためのガイドライ ン(生物付着ガイドライン）」を設けた。2012年には, 24 m長以下のレクリェーション船への生物付着に よる移動を最小化するためのガイダンスが追加さ れた。すべての船舶は，船体を清しても，ある いは新たに防汚塗装をしたとしても，程度の差こ そあれ’生物付着を生じる。この生物付着は,船 体を海に侵けて最初の数時間で生.じ，以ドの要因 によって影響を受けることが知られている。