サンゴの有性生殖：ナガレハナサンゴの配偶子形成と一斉産卵

摘要

初夏，月明かりに照らされた静かな夜の海，サンゴが一斉に卵，精子を放っ。“サンゴの一斉産卵”として広く知られるこの現象は，これまでに研究者のみならず，一般の人々をも魅了してきた。この現象における最大のQuestionは，やはり，サンゴはどのょうにして放精放卵のタイミングを知ることができるのか，である。サンゴは私たち人間と違い，時を知るための力レンダ一や時計などを当然ながらもっていない。また，自己と同一種の個体が近くに存在しているかを感知するシステムを有しているのか，さらに同一種間でコミュニヶ一ションがとれているかも不明である。ではいったいどのょうにして1年の限られた期間内（1日，または種にょって数日）に同一種間でタイミングを合わせて放精放卵することができるのであろうか。またもう1点，一斉産卵のインパクトが強いためあまり注目されていないのだが，大部分のサンゴは1年に1度，まるで放精放卵の時期に合わせるかのょうに成熟した精子と卵を体内で作り上げている。サンゴの配偶子形成の根底には，どのょうな仕組みが存在しているのであろうか。