超音波特殊反応場を利用した懸濁液中微粒子の沈殿方法

摘要

採石場において切削粉末が混合した水溶液は懸濁しているため，沈殿他にて無機凝集剤を用いた沈殿処理を必要とする．その沈殿物は石粉末と凝集剤の混合物であるため，産業廃棄物として処分されている．しかしながら，その石粉末に利用価偶がある場合，その懸濁液は資源である．このような背景から，この資源を無駄にしない低環境負荷で効率の良い沈殿回収方法の確立が望まれている．水の中に懸濁している粒子を分離するには沈降法，ろ過法，遠心分離法といった物理的処理や沈殿法，凝集法，吸着法といった化学的処理が行われる．主に物理的処理は薬剤を用いないため，水を汚さずに懸濁粒子を回収できるというメリットを有するが，メンテナンス等に手間がかかり化学的処理と比較して手軽さに欠ける．懸濁液内の粒子は，その表面が負の電荷を帯びており，同符号同士であるため反発分散し安定に存在している．pH調整剤や凝集剤による化学的処理は，この電荷の大きさを調整したり打ち消したりすることで分散安定状態を崩壊させることができるため，容易に沈殿が得られる.