グリーンポリマーの合成とケミカルリサイクル

摘要

今日，人類には早急な循環型社会の再構築が求められている．化学工業分野においても20世紀末までに開花させた石油化学工業による利便性と効率を維持または向上させつつ循環型化学工業体系を作り上げる試みが，種々の切り口からなされている．中でも，循環型グリーンポリマーの創成は象徴的な事例といえる．理想的な循環型グリーンポリマーサイクルを図1に示す．大切なことは，人間の活動圏で発生したものは，その中で処理し，地球環境にはなるべく影響を与えないようにすることである．種々あるリサイクルルートの内，ケカルリサイクル（原料化リサイクル）は省エネルギーな方法が確立されれば，理想的なものとなり得る．最も外側に位置するループはバイオリサイクルであり，循環型プラスチックは，最終的に人間の手からはなれたものは自然環境中の物質循環に組み込まれるもの（生分解性）でなければならない．循環型ポリマーではリサイクル性（ケミカルリサイクル性）が不可欠であり，特に製造やリサイクルで消費されるエネルギーを含めてカーボンニュートラルにできるだけ近づけることが必要である．さらに，ポリマー合成やリサイクルでは触媒として用いられる金属についても考慮されるべきである．