わが国では,1993年度に国の水素技術開発プロジェクト r水素利用国際クリーンエネルギーシステム」,略称WE-NET(World Energy Network)第Ⅰ期計画を新エネルギー?産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトとして発足させた.本プロジェクトは,海外の未利用再生可能エネルギーを利用して液体水素を生産し,消費地に海上輸送して発電や自動車用燃料として利用することを最終目標としていた.第Ⅰ期計画(1993~1998年度)は,長期計画(フィジビリティスタディ)としてスタートした.しかしその間,エネルギーを取り巻く情勢が大きく変化したこと,時を同じくして,再生可能エネルギーをはじめとした新エネルギー(太陽電池や風力発電など)が,世界的にも(特に先進国を中心に)普及の段階に入りつつあること,加えて固体高分子燃料電池技術の急速な進展等を考慮して,第Ⅱ期(1999~2003)では,これら技術開発動向を踏まえ,純水素固体高分子燃料電池,水素自動車燃料系システム,水素ステーションなど短期に実用化できる技術開発を優先して行うよう軌道修正された.すなわち1.993年当時,F夢jの水素エネルギーにすぎなかった段階から,近い将来「現実」の世界となる段階へ到達したといえる.事実,その後,本プロジェクトは水素の安全利用に関する開発研究や燃料電池に係る技術開発に移行している.
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