宇宙用途を目指した燃料電池の開発

摘要

燃料電池は自動牢搭載用をはじめ天然ガス等のライフラインを用いた家庭用発電システムなどここ数年で特に脚光を浴びてきている．もともと燃料電池は宇宙機への搭載が実利用として最初であり，米国航空宇宙局（NASA）が1960年に30分間のフライト実証を終えて以来，ジェミニ/アポロ／スペースシャトル等の有人宇宙船の電源として使用されている．表1には，これまでのNASAミッションにおいて適用されて'きた燃料電池の基本仕様をまとめた．燃料電池は電気化学反応において電力と共に水を生成するため，閉鎖環境となる宇宙空間において優位であり，また，特に大電力を必要とする大型宇宙機の場合，反応ガスを外部タンクに貯蔵できるので，他の一次電池／二次電池系に比べて高いエネルギー密度を確保することが可能である．このため，燃料電池は極めて重要なエネルギー貯蔵装置となりうるものである．