廃棄物リサイクルに向けた乾式比重分離技術の開発

摘要

限られた資源の有効利用という観点から，廃棄物のリサイクルが盛hに求められており，家電および自動車リサイクル法の施行に代表されるように，廃棄物リサイクルが国を挙げて推進されている．最近では，ものづくりの段階で使用後の再利用を想定した工夫がなされるなど，リサイクルを容易にする取り組みがなされている．しかし，そのようにつくられたものが実際に廃棄物として世に出るのは当分先であり，現在はリサイクルしにくいものを対象とした処理が求められている．リサイクルを困難にする要因の1つとして，廃棄物がさまざまなものの混合物であることが挙げられる．鉄くずやガラス破片などの単一素材からなる廃棄物のリサイクルは容易であるが，シュレッダーダストのような複数の素材からなる混合物をリサイクルするためには，各素材に分離しなければならない．重液などを用いた湿式比重分離法が分離技術として広く用いられているが，廃液処理や分離後の乾燥工程が必要であり，装僅からの液漏れや比重調整剤のコスト高などの問題を抱えている．したがって，そのような問題を抱えない代替技術である乾式比重分離法を求める声が廃棄物処理業者の闘で上がっているのが実情である．以上の背景の下，筆者らは固気流動層内での物体浮沈現象を乾式比重分離技術として利用することを目的として，これまでに基礎から応用に至る一連の試験を通じて技術開発を行ってきた．