長野県，高野層のボーリングコア試料の全有機炭素（TOC）含有率変動に基づく更新世後期の古気候変動の復元

摘要

古気候変動の解明に関する研究は，海洋堆積物において，Emiliani（1955，1978）やShackleton（1967）などの研究を基に，有孔虫穀の酸素同位体比を有力な指標として進歩してきた．さらに，Imbrie et al（1984），Martinson et al（1987）およびBassinot et al（1994）などは地球の軌道要素の変動と気候変動との関係を検討し，年代精度の改善に努めた．一方，氷床コアを利用して苗気候変動を高精度·高分解能で解明する研究も盛hに行われており（Dansgaard etal，1969，1993），グリーンランド氷床においては酸素同位体比変動の研究から，DansgaarかOeschgerサイクル（Dans－gaardetal，1993）と呼ばれる数十年～数百年間で急激に変化する気候変動が存在することや，最終間氷期が119kaから始まったこと（NGRIPMembers，2004）などが明らかになってきた