現代山村地域振興論

摘要

本書は1998年に大明堂から刊行された「山村地域開発論」の構成内容を組み替え、装いも新たに上梓されたものである。 そして、その対象はあくまでも山村である。 岡橋秀典（1998）が「山村地域開発論」のなかで指摘しているように、著者が「中山問地域」が脚光を浴びるなかで、あえて「山村」にこだわる理由は何なのだろうか。 都市地域も含まれる中間農業地域と、集落の存続が問題化するほどに深刻な地域問題を抱えている山間農業地域を包括する「中山間地域」という地域概念の暖昧さが問題であると著者は指摘している。 地域の資源として林野が大きなウエートを占める山村の特殊性を考えない振興策はあり得ないと考え、山村にこだわってきた評者は意を強くした次第である。 この本の目的は、「農業分野、林業分野、それぞれの地域スケールで、独自の政策視点をもっことが求められているなかで、地方分権時代の山村振興への政策的視点を析出し、21世紀における山村振興の手がかりを見いだす」ことにある。 本書の章別構成は以下のとおりである。