四国中央部三波川変成岩中のザクロ石から解析する温度圧力履歴

摘要

変成岩中の鉱物の中には，熱力学的条件に応じて化学組成を変化させながら成長するため，不均質な化学組成を結晶内に残しているものがある。 これは化学組成累帯構造と呼ばれ，その結晶が成長した時の条件を経時的に記録しているものと考えられている。 化学組成累帯構造を示す鉱物のうち代表的なものがザクロ石であり，ザクロ石の組成から逆解析を行うことによって，その結晶を成長させた温度圧力の変化を求めることができる。現在では，様々な鉱物の熱力学的特性に関する実験結果が得られるようになったこと，技術進歩によりパソコンで手軽に逆解析が可能になったこと等により，このような逆解析が変成作用の解明に欠かせない手段となりつつある。