Nal(TI) spectrometerとガンマカメラを駆使した農地汚染問題への取り組み

摘要

2011年3月に起きた東京電力福島第一原発事故から飛散した放射性セシウム（Cs-134、Cs-137）による農地の汚染が深刻な問題となっている。生産者、消費者双方からの極めて強い関心に伴い、土壌や肥料、農産物などの放射性セシウムの定量分析の需要が急激に増加した。2012年4月から食品に対する放射性セシウムの新基準値が適応され、その分析の負担はさらに増えている。このような状況に素早く対応するには、安価な計測機器を用いた平易な定量分析の方法を開発し、あらゆる現場へ広く普及させる必要がある。それに加え、汚染問題の長期化が危惧される中、「安全な農作物の生産」や「ファイトレメディエーション」といった、放射性セシウムの動きを人為的に制御しようとする研究がこれから加速すると予想される。そのためには、放射性セシウムの動態を非破壊的かつ連続的に捉える計測技術が必要不可欠である。