中性子等による地雷及び違法物質探知研究の現状

摘要

現 在世界には、6 0カ国以上に1億個以上の地雷が埋設遺棄されていると言われている。古いものでは、エジプト西部砂漠地帯で第2次大戦中に埋設された11 万I固を超す対車対人地雷が報告されこいる1)。これらいわゆる地雷汚染国では、地雷除去のため膨大な予算と人材が投入されているが、依然として多くの特に子供を含む市民が犠牲になっている。その大きな理由のーつに、近年の地雷は格納容器も含めほとhどプラスチックでできているため、最も有効であった金属探知器(MD：Me ta l Det ec to r ）が有効でなくなったことが挙げられる。ただし、プラスチック地雷といえども、起爆部分に数グラム程度の金属を含hでいるため、MDを極めて高感度に調整すれば原理的には探知可能である。しかし、その場合、旧戦場には同時に多数の金属片が散乱しているため、あるところでは、一千以上の警告音のうち、わずか1 個のみが地雷であったという事例があり、この探知方法のみでは地雷除去速度がめて遅く、汚染国によっては地雷の完全除去までに100 年以上が必要などと推測されている。一由方、重機械による地雷除去も行われており、その方法は極めて有効で除去速度は機械の規模にもよるが1時間当たり850-4,000m2と報告されている2)。しかしながら、100％ の地雷除去を目標とする人道的対人地雷除去においては、機械による除去の後も、再度確認のため地雷除去作業人による探知作業が必要で、その速度は1時間当たり約1 0m2 発 極めて遅く、これを改善することが、地雷汚染国の早期復興には必要不可欠となっている。