フイリピン治水砂防行政機能強化プロジェクトにおける砂防分野の技術協力を終えて

摘要

フイリピン（フィ国）は年平均20回の台風が接近し，その半数が上陸するなど集中豪雨が多発する気象条件にあり，また大規模な火山噴火や森林伐採等による山地の荒廃により大雨に伴う土砂災害が頻発し，年平均で700人を超える死者と約80億ペソ（160億円）に達する被害が生じています。特に1991年のピナッボ火山噴火とその堆積物の流出，オルモックの洪水被害を経験し，国家の機能低下を招く大規模災害に対する抜本的な施策が望まれるようになりました。そのような状況を受けフイリピンの公共事業道路省（DPWH)~(※1)は治水砂防技術センター（FCSEC)~(※2)を設立し，2000年1月から2005年6月までの間，日本の協力のもと治水技術向上プロジェクトを実施しました。また，2005年7月から2010年 6月までの間，第1フエーズで培った技術を更に活かすため，技術基準·ガイドライン等の更新や職員の研修活動，災害に関するデータべース構築及び調査·研究活動等を通じた治水行政機能を強化するプロジェクトを実施しました。