写真の奥行き知覚における空間の異方性について

摘要

私たちは，写轟をみてどれくらい正確にもとの奥行きを復元できるのであろうか．あるいは，直接観察した場合の奥行き知覚と比べてどのような点が異なっているのであろうか．デジタル写真が主流となりつつある現代においては，写其の奥行き知覚の性質と実際の物理的奥行き，あるいは，直接観察した場合の奥行き知覚との間の関連性が明樅になれば，写寅を加工して実際の奥行きに近い写真を作成することも可能になる。 そのためには，写真の奥行き知覚における幾何学的な構造が明確になること，そして，物理空間との間の写像関数が導出されることが重要であろう．本研究は，このような写真の奥行き知覚に関する幾何学的性質を調べようとするものである．特に，写其の奥行き空間と実際の物理空間との間の写像関数，そして，直接観察した場合の視空間との間の写像関数を探究すること，さらに，写真の奥行き空間の幾何学的性質を探究することを目的とする．