再認ヒューリスティックの恍川における表記の効果

摘要

元来ヒューリスティックは，"発見的な"，"発見を促す"という意味を持つように，初期の研究では問題解決に役立つ便利な方略として捉えられて釆た（Duncker，1945；Groner，Groner，＆Bischoft1983；Polya，1962　 柴垣·金山訳，1964）．しかしながら，1969年に始められたTversky＆Kahnemanのヒューリスティック＆バイアス研究以降，ヒューリスティックがもたらす誤答に焦点が当たるようになり，ヒューリスティックの使用による効率性や倹約性の利点を認めながらも，エラーやバイアスをもたらすものとしての特性が論じられてきた（K．ahneman，Slovic，＆Tversky，1982；PiattellトPalmerini，Ⅰ994）．この視点に基づく研究は現在も多く，これまで数々の知見をもたらしているが，その一方で初期の研究のようにヒューリスティックの肯定的な側面を積極的に議論しようとする研究の動向が見られる（Ambady，Bernieri，＆Richeson，2000；Funder，1987；Wright＆Drinkwater，1997）．その一つが，本研究が対象とする再認ヒューリスティック研究である（Goldstein　 ＆　 Gigerenzer，2002）．