谷口に位置する青梅市周辺におけるヒートアイランド現象と山風の吹走との関係

摘要

谷口に位置する市街地に形成されるヒートアイランドの実態と山風による影響を明らかにするため東京都青梅市において1993年から1996年にかけて気象観測を行った．　 自動車を用いた移動観測の結果，晴天日の日中には谷の出口付近に位置する市街地に高温域が見られたが，夜間には解消していた．係留気球による鉛直方向の観測の結果，谷の出口付近の市街地の上空では，山風が吹走する場合には安定層の下に接地中立層が形成されていたが，山風が弱い場合にはその限りではなかった．　山風によって谷からの空気が流入することにより，谷の出口付近に位置する市街地とその下流側の市街地（南東部）との気温差が広がるとともに，水蒸気量の分布にも変化が起こっていたことがうかがえる．　このように，山風は谷口付近の市街地の大気に影響を与えながらヒートアイランドを緩和していたと考えられる．