科学史入門：明治初期の小学教科書『物理階梯』

摘要

『物理階梯』は明治の初め小学校が全国一斉に創立された時期の文部省お奨めの教科番である．採択される教科書は府県毎に選定されたが，小学校上級用の教科「物理」の教科書としては殆ど独占的な地位を占めていた．数年後には地域によっては水準を下げる必要が起きたり（簡易教科脊の採択），また別のタイプの優れた教科菩が登場したりして，その地位は少し脅かされた．しかし小学校の盤科系四教科（物理·化学·博物·生理）を圧縮して￣つの教科「理科」に統合した明治19年より以前には『桝即削削が大きな地位を占めていた．この教科番が小学校へ供給するためどういう具合に作成されていたのか.かなり詳しく調査をした．その報告の要約である．　 はじめにこの本の内容を簡単に紹介しておく．