スクラッチ試験によるアルマイトの機械的特性の評価

摘要

機械部品の摩擦形式の分類の中で、アルマイト部品はすべり摩耗による場合が多い。更に、図1に示すように、すべり摩耗を摩耗様式で分類すると凝着摩耗とアブレッシブ摩耗に分類される。これらの内、特にアルマイトの摩耗はアブレッシブ摩耗が多い。アブレッシブ摩耗とは引っ掻き摩耗或はざらつき摩耗のことである。摩擦·摩耗の評価には色々な摩耗試験方法が採用されている。硬質アルマイトの試験方法として、JIS H 8603には、①往復運動平面摩耗試験（JIS H 8682-1）、②噴射摩耗試験（JIS H 8682-2）及び、③平板回転摩耗試験（JIS H 8603付属書2）の3つの方法がある。これらは何れもアブレッシブ摩耗試験方式に属する。本報告はアルマイトや硬質アルマイトの機械的特性の一つである耐摩耗性を評価するに当り、JIS H 8603に示す3つの試験機以外の簡易な試験方法で耐摩耗性の概要を評価することが可能か否かについて検討した。具体的には単純であるがサファイヤピンやヤスリテスタ或は高硬度の鉛筆も含めて試料を引掻き、発生するスクラッチ傷の形状で評価を行った。各種の硬質アルマイト試験片を評価した結果、特徴あるクラックやスクラッチ傷で特性評価が可能であることが判明した。