マグネシア質耐火物へのスラグ浸透挙動の直接X線観察と組織解析

摘要

耐火物にまつわる現象は1000°C以上の高温実験が欠かせない．上述の場合も電気炉内での実験であった．それにさらに透過X線観察を組み合わせることで，ダイナミックな挙動の研究が可能になった．これは画期的なことで，たとえばわずか10秒間で最大20mmもスラグが浸透するとは想像もしていなかった．またこの観察結果から浸透モデルが確立できたことも重要である．さらにスラグと耐火物の反応が浸透速度に影響を与えることも分かった．多成分の化学反応と物質移動が関係する耐火物の世界は，さながら大自然のようでもあるが，部分部分では理論的に説明可能である．耐火物に触れたことのない方にもぜひこの「不思議の森」を探索し，新たな地平を切り開V、ていただきたいと思う．なおご紹介したスラグ浸透の挙動は成書に付録のDVDで実際にご覧になれます．