放電プラズマ焼結法により作製したW型フェライト焼結体の磁気特性

摘要

フェライト磁石は希土類磁石よりも残留磁化や保磁力は低いものの，主成分として地球上に豊富に存在する酸化鉄を使用しているため，コストパフォーマンス（最大エネルギー積（BH）_(max)／重量あたりの原価×比重）に優れている.さらに酸化物であるために，錆びない·分解しをいという化学安定性においても優れている.そのほかにも，磁化の温度依存性が小さいため高温でも性能が落ちにくい性質を有し，また導電性が低いことから渦電流による損失が少ない.そのため，高温下で磁石を使用するハイブリッド華や電気自動車用の低出力用モーターへの応用も検討が進められており，より磁石特性の高いフェライトの開発が望まれている.現在最も多く磁石材料として用いられているフェライトは六方晶のM型である.このM型フェライトより同じ六方晶系のW型の磁石のほうが，体積当たりの磁気モーメント，つまりは飽和磁化が大きくなることが知られており，W型フェライトの永久磁石への応用が研究されている.本稿ではこれまで報告されているハードマグネットとしてのW型フェライトの磁気特性の概要をまとめ，磁気特性のうち特に保磁力の向上を目指した焼結体の作製について概説ずる.