国際規格に関する取り組み

摘要

日本および世界の先進主要国は，21世紀に入って急速な高齢化社会を迎えているが，高齢化にともなう関節および骨の機能低下は生活の快適性，機能性を大きく損なうことになり，社会的に与える影響が大きい．外科用インプラントの分野では，高齢化にともなう人工股関節装着者が増大すると予想され，高齢者が安全な生活を安心しておくるために，股関節の材料と機械的特性およびその生体機能性向上をはかることは，装着者のQOL向上をはかる上できわめて重要である．人工股関節の骨頭材／カップの組み合わせとしては，セラミックス/ポリエチレンの他に，金属/ポリエチレン，セラミックス／セラミックスなどがある．このうち金属/ポリエチレンの親み合わせでは，摩耗粉がまわりの骨組織を融解し人工関節と骨との固定性を失わせるルースニング現象を起こす可能性がある．このため再手術が必要となる可能性もあり，若年層ぬ患者には適用できないといった問題がある．これに対じてセラミックス／ポリエチレン，セラミックス/セラミックスの組み合わせでは摩耗粉の発生はごく微量かほとhど発生せず生体親和性が良いという利点がある．医療用セラミックス材料は日本が世界をリードしている分野であり，この分野で日本主導の国際標準化をはかることにより，産業競争力の向上に大いに資することが可能である．