Al－7％Si合金のSi相の間隔に及ぼす共晶セル数及び共晶凝固時間の影響

摘要

Al-Si系合金における共晶Si相の間隔の変化は，機械的性質の変化要因のひとつである．共晶Si相の間隔は合金中の不純物であるPの影響を受けることが報告されている．Pは合金地金の製造時に，金属Siとスクラップから混入する．Pは溶湯中でAIPを形成して，共晶凝固時に初晶Siを核生成するも．初品Siから共晶Siが成長して共晶セルを形成する．この共晶セルの数が，共晶Si相の間隔に影響を及ぼすものと考えられている．また，共晶Si相の間隔を狭くする目的でSr，Na，Caなどを添加する，いわゆる改良処理が行われている．これは，溶湯申に存在する朗Pを，Ca3P2などの核作用のない化合物に変化させることで，共晶セル数を減少させているものと考えることができる．これらより，共晶Si相間隔は共晶セル数の影響を受けるものである．他方，共晶Si相間隔を狭く、するためのもうひとっの方法として，冷却速度の増加が知られている．このことば，共晶Si相の間隔が共晶凝固時間の影響を受けることを意味する．以上のように，従来から経験的に，共晶セル数と共晶凝固時間が共晶Si相の間隔に影響を及ぼすことが知られている．しかしながら，その関係が定量的に示された研究はない．