板状チタン酸／カルシアドープセリアナノ粒子パノスコピック形態制御複合体の紫外線遮蔽特性

摘要

セリアナノ粒子は，優れた可視光透明性を有し，チタニアのような光触媒活性を示さないためプラスチック，ゴム，紙等の有機材料の光劣化を防止する紫外線遮蔽剤として当初用いられ，近年，サンケア化粧品のような可視光領域での透明性と高い紫外線遮蔽特性が求められる分野でも利用されるようになっている．一般にナノ粒子は凝集しやすくすべり性が悪い．化粧品用途では，優れた紫外線吸収能とともに肌に塗布した時の使用感も重要であり，紫外線遮蔽剤ナノ粒子を紫外線吸収能を有する板状ミクロン粒子と複合化するパノスコピック形態制御は，紫外線遮蔽能を損なうことなく使用感を改善できる方法として注目される．板状半導体には種々のものが有り，紫外線吸収能ばかりで無く，屈折率，色，光揮性等，多様な性質を示すものがあり，これらの物質を利用したパノスコピックな形態制御によりさらに新規な機能性を付与した材料開発が期待できる．