イノベーディブセラミックスのためのナノ粒子液相プロセッシング：メソポーラスシリカの合成法を利用した高い透明性·UVB防御能を有するチタニアゾル／シリカ複合体

摘要

一次粒子径が非常に小さいため（数nm～50nm程度）透明性が高く，高い紫外線防御能を持つ素材としてチタニアゾルがあるが，一般的なチタニアゾルは強酸性の分散液であり，化粧品に配合することはできない．また仮に配合できたとしてもpHや溶媒極性等の変化による凝集を起こし透明性および紫外線防御能が低下してしまう．そこで屈折率が酸化チタンよりも低く，透明性の高いマトリクス中にチタニアゾル粒子を安定分散·保持させ，それを粉末の形状で取り出せば，今までの酸化チタン粉末よりも透明性に優れ，かつ紫外線防御能にも優れる新規の酸化チタン複合体が合成できると考えられる．また複合体は粉末の状態で得られるため，チタニアゾルが有していたpH等の変化による凝集のデメリットを軽減でき，サンスクリーン等の化粧品基剤に安定配合できると考えられる．その結果，チタニアゾル自身の有する高い透明性，高い紫外線防御能といった特徴をそのまま保持した，高い付加価値を有するサンスクリーン製品の開発が期待される．紫外線防御効果が高く，複合化させるマトリクスの存在下でも安定に分散しているチタニアゾルを得ること，そのチタニアゾルの分散状態を保持しながら効率よくマトリクスにトラップすることの2点をクリアすることで，目的とするチタニアゾル複合粉末が得られると考えられる．今回優れた透明性，紫外線防御効果を持つアナターゼ型チタニアゾルを用い，このゾルの性能を低下させない透明マトリクスとの複合化により，透明性·紫外線防御能の高い酸化チタン複合体を得ることに成功した．