マスフロー千夜一夜物語 第59回: 質量流量計の基礎

摘要

マスフロー千夜一夜物語第59回の今回は、第58回の最終章からのスピンオフでマスフローコントローラー（以下MFC）の目指すべき姿に関して、解説を行いたい。前回は便利な“自動流量制御器”であるMFCが、重大なトラブル原因の矢面に立たされる事象を解説した。それらはいずれも、MFCは流量信号（測定値、以下PV）と、外部（指示計やPLC）からの流量設定信号（目標値：以下SV）が一致するように、流量制御バルブを駆動するバルブ制御信号（操作量以下MV）を可変させるという基本動作を忠実に行っているにも関わらず、いやそれが故に生じていたトラブルであった。故に対処療法としては、“MFCに通常のルールで制御をおこなわないモード”を追加するというある意味矛盾する手法を用いてきた。その代表例が、ガスライン切り替えなどによる急峻な一次圧力変動影響を緩和する目的で開発されたPI（Pressure Insensitive）もしくはPTI（Pressure Transit Insensitive）と呼ばれる技術を搭載したMFCであった（以下、PI-MFCと呼称）。