筆者が初めてSm-Fe-N化合物の存在を知ったのは,1990年に米国のCarnegie-Mellon Universityで開催されたInternational Workshop on Rare-EarthMagnets and Their Applicationsの会場であった。Ireland Trinity CollegeのCoeyがこの化合物の履歴曲線を示して高保磁力化が実現できたと報告したのを今でも鮮明に覚えている。 この発表が発端となってSm-Fe-N磁石の研究が世界中で始まった。 ところが,実は旭化成工業の今井と入山によって既に1987年にこの化合物に関する特許は出願されていたことが判明した。 1987年頃はNd-Fe-B系磁石が本格的に使われ始めた時期であり,それまで高価なSm-Co磁石として知られていたSmを使った材料の市場性は疑われて,発明には成功したものの積極的な報告はなかったようである。
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